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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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今日から、長瀬智也主演の病理医のドラマ「フラジャイル」が始まりましたね~。

番宣から、実は楽してみにしていました。

長瀬智也さんは男前だし、演技うまいし、病理医という、とてもコアなところの医療ドラマとは!おもしろそう~と思ってました。

 

。。いや、面白かったですが。。

 

。。これ、医療監修、あまりされてませんかね。

マンガ原作の場合、すっごい調べてある!!とこちらが感動するものから、漫画だしな~、とあくまでひとつのバラエティと楽しむ(あまり観ないことも多いですが)ものまで、ピンキリです。

米倉さんの「私、絶対失敗しませんから」は面白かったですが、あまりにも現実離れしすぎて、あくまでも仮想世界での話として、ストーリー性を楽しむ感じ。

(あのまま、一般の方が信じたら、大変ですが。。)

「白い巨塔」などは、感動のほうですね。

 

さて、こちらのフラジャイル、長瀬さん、やっぱり演技うまいですね~。

他の俳優さん、女優さんも、実力派でかためられていて、武井咲ちゃんも美人でかわいいし、ドラマとしてはとてもいいですね~。

 

でも、医療監修が。。。

 

マンガ原作なので、原作の話がそうなっているんでしょうか。それにそって、脚本や演出がされているってことですかね。

 

長瀬さんが正義の味方で、悪人の医師たちと戦う、という、完全懲悪的な感じで描かれていて、確かに、観ていて、わかりやすいし、こうい、水戸黄門的なドラマって、半沢直樹のように、おもしろいし、スカッ!としますが、世の中、白黒はっきりいくものじゃない。。

だからこそ、こういう非現実的なドラマを視聴者は求めるのかもしれませんが。。

 

患者さんが、なにかあって、病院に行った場合、本当は、「問診」と言って、経過がとても大事です。

特に、武井咲さんがいやになって止めるのは、神経内科で、私は学生時代の実習で、神経内科ほど問診(経過)が大事な科はない、とまで言われました。なので、患者さんの問診には、ものすごく時間をかけて、ものすごく細かいところまで聴くように、と指導されましたが。。。

(私は、皮膚科も問診(経過)が同じくらい大事だと思っていますが、皮膚科は、まだ目で病気のところを直接診るということができるので、やっぱり神経内科のほうが問診は大事かな。)

 

長瀬さんが、「ここには、まともな医者はいないのか!」「それでも医者か?!」「診断の根拠は?!」と詰め寄るシーンがたくさんありましたが、あんなことすら検査もせずに、放っておいたり、退院させたり、検査もしない、というのは、皮膚科医の私からみても、おかしいやろ、と思うくらい、初歩的なことで、学生実習で、治療方針のディスカッションしているんじゃないんだから、というレベルで。。

う~ん。。

 

次の患者さんで、がんと診断もついていないのに、抗がん剤を患者さんにいくこともないし(そんなことしたら、大問題です。だって、副作用が半端ないわけで、その副作用を我慢してでも、いかないといけないから、いくわけで。。)、がんの細胞の種類が決まってもいないのに、抗がん剤の種類は選べません。

「抗がん剤」って、ひとつじゃないので、細胞によって、どれを投与するのか、で、大体何種類かを組み合わせることもあり、それぞれでの組み合わせ方というのが、細胞によって決まっています。

かなり特殊な場合もありますが、何の病気でも「診断」がつかないことには、治療ができないわけで、対症療法は別として、まして、「抗がん剤」は対象療法ではありません。

まして、まして、「ガン」として、抗がん剤までいくのに、全身検索もしていない(ドラマの中で、腹部CTをすぐに撮るように言われていましたが、腹部CTすらしていないなんて、ありえない!!)なんて、それだけでも、普通に考えなくても、おかしいです。

ケースバイケースの特殊な場合って言っても、(ドラマは全然あてはまりませんけどね)う~ん、ちょっと思い当たりませんね。。

 

ま、漫画原作のドラマだから、フィクションなので、いいんですが、ここまでおかしすぎる経緯だと、長瀬さん役の医者が、「変人」という設定ですが、これでは、ただの「ふつうの医者」です。そりゃ、あんなおかしな治療や診断をしている医者に関わったら、正しい意見を言ったり、止めたりするのは当たり前かな、と。

 

私の知っている限り、医療の現場って、ここまでおかしなことはないですよ。

当たり前のことをしていない医者というのは、どこの世界にもいると思いますが、こういう大きな病院だと、上の先生の誰かが気づくので、患者さんに大変なことが起こることというのは、あまりないです(と思います)。

そのためのカンファレンスだし。誰も(部長すら)つっこまないなら、その病院は終わっています。

 

一般の方がこういうのをそのまま信じて、米倉さんのドラマなど観られてもそうですが、そうそうおかしな医者ばかりで、隠ぺいばかりされているとか思っていらっしゃる方がいたら、とても残念です。あくまでもドラマ上の演出なので。

多くの医者は、みなさんが思っている以上に、患者さんのことを考えて(それが患者さんには伝わっていないことも多いですが)、治療にあたっています。見えてないだけで。

ごく一部です、ダメダメな、当たり前のことができない医者というのは。

意見の相違とか、考え方の違い、というのとは、また別の次元の話なので、100人医者がいたら、100通りの治療があって、どれが自分に合うのか、というのも、別の話になるので、ややこしんですけどね。

 

この「フラジャイル」、発想というか原案はとてもいいんですよね~。俳優さんたちもいいし。

もうちょっと現実的な話にすると、信ぴょう性があって、もっとおもしろくなるのに。ちょっと残念。

ドラマだから、見せ場は必要なんでしょうけど~。あまりにも非現実的だと、冷めちゃうんですよね。

まだ1話が放送されただけですが、長瀬さんがカッコいいので、来週も観るつもりですが、頑張ってほしいな。