うちにも、たま~に問い合わせがありますが、「シミ治療を保険でされてますか?」「保険でできますか?」と。
答えは、「してません」し、「できません」。
そもそも、シミに効果がある美白剤や光やレーザー治療自体の大半が、厚生労働省が認可しておらず、各医師の責任において、行っている医療行為なので、保険なんて、そもそも通るわけありません。
もちろん、クリニック専用の化粧品も、クリニック専用とは言え、薬ではなく、化粧品ですから、保険が通るわけがありません。(一部医薬部外品もありますが、これも、もちろん保険は通りません)
(エクイタンス®(うちが美白クリームとして使っているクリニック専用の美白化粧品です。市販のヤツとは違います。医薬部外品ですが、薬ではありません。患者さんからすると、化粧品に近いでしょう。)は、保険通りますか?と聞かれたことがあるので、ビックリしました。美容医療をご存知ない方は、そういう感覚なんだな、と思いました。)
また、現在、保険で取り扱っている薬や治療で、シミやシワなどに効くものはありません(中には、全く効かないわけではない、という、次元の低い話でよければ、みたいなものもありますが、患者さんの思っておられる、「効く」からは、程遠いものです。
患者さんは、「保険が通る」という意味を、恐らくは正しくご存知ないんだろうな、と思います。
日本の保険制度に関してですが、ほとんどの方がかかった医療費の3割を自己負担で、あとの7割は、普段払っている保険料(税金の一部も)から払われていて、自費治療や服や化粧品を買うみたいに、全額ご自分で負担されているわけではないのです。
高い保険料、払ってるやん!と思われるかもしれませんが、もし実際病気をして病院に行って、全額自分で払っていたら、保険料なんかすぐにぶっ飛ぶくらい、医療費というのは、実はかかっているわけです。
病院に全然行かない方からすれば、保険料を払うだけ、損なように感じられるでしょうが、万が一のためにも、健康保険は必要なのと(保険がないと、えげつない全額請求になります。それは恐ろしいくらいの金額です。後から入り直す方がいると聞いたことがありますが、どこまでさかのぼって、保険料を払わせるんでしょうか。払っていない期間全部ですかね、やっぱり。)、日本の保険制度自体が、みんなでお金を出し合って、お金持ちの人はその分多く、働けない人は免除して、みんなで、健康にいるために、協力し、また協力してあげましょうよ、という社会保障制度なわけです。
だから、自分が病気にならなかったとしても、払わないと、社会保障制度自体が成り立たなくなってしまいます。
だから、ズルして、保険で、シミとかの美容治療をしてもらったところで、無駄に保険料が使われてしまいますから、お金がどんどん足りなくなります。その結果、医療費の自己負担を上げざるを得なくなって、結局医療費が高くなってしまうので、回りまわって、ホントに病気をした時に、高い医療費を払うはめになって帰ってくるんです。
シミや美容は、病気ではありませんから、そんなのに保険を通したら、ガンや心臓病・いろいろな難病で、高額の医療費を払っている方々に、申し訳ないと思いませんか?
自分がガンになってしまって、ものスゴク高額なお金を毎月払っているのに、シミで保険料使われていたら、その分、ガンの自己負担減らせよ!って、思いませんか?
国の財政赤字で、医療費の破綻は、ず~っと以前から言われてきていて、保険制度の見直しは毎年毎年きつくなって、病院にとっても、患者さんにとっても、負担を強いられてきました。
(北欧やヨーロッパの一部の国で、医療費患者負担分ほぼゼロの国もありますが、そういう国は、消費税が20%とバカ高かったりします。また、ヨーロッパでは、風邪くらいでは病院には行かないし、ただだからと言って、薬や点滴をやれやれ・くれくれと言いません。最低限度の薬しか医者も出さないし、患者さんももらわれないそうです。日本人は、病院好きだし、薬も点滴も好きな国民なので、医療費かかって、仕方ありません。)
結果、医療費が莫大になり、これではいけないと、保険制度を色々変えて、今年も変わったはずです。毎年ちょっとずつ変えてるようです。
そのおかげで、まっとうな医療をしている、患者さんにとってホントのいい病院が赤字で倒産したり、倒産寸前だったり、ただでさえ難病で高額な医療費を払っていた患者さんが、さらに自己負担を強いられ、医療費を捻出できなくなったり、と弱者の方のところに弊害が出ています。
不要な薬や検査を出すのをやめるだけで、かなりの医療費が余ってきて、その分、そういうところに回せるようになると思うんですが、誰が、どうやって、それをチェックするのかで、なかなかうまくいかないんだと思います。
それに、高齢化社会で、もう働いていないお年の方は、病気も多くもっていたり、また治りにくかったり、慢性の病気だったりで、医療費は若い人よりもたくさんかかります。
人口の比率から言っても、ホントに日本は、医療費は全然足らないんだと思います。(今までのやり方が悪かったツケもあるとは思いますが)
そんな状況で、命に関わらない状況のものに、保険はなかなか通さないでしょう。普通の命に関わる病気ですら、保険の審査が厳しくなってきてる、と他の開業医の先生方、みなさん、そうおっしゃいます。
その中で、患者さんの病気が早くよくなるようん、でも保険は切られないように、苦労して治療や検査にあたっておられるはずです。
だから、美容目的で、絶対保険を悪用して、使っちゃいけないと思うんです。
世の中には、保険の通っていない光やレーザー治療を、シミやシワに対して、保険でされているクリニックがあります。
時々、患者さんからも「あそこは保険でやってくれる」とか「院外処方箋で、薬をもらっていた(保険で、ということです)」とお聞きすることがあります。
どうして、保険が通っているのかというと、まず保険が通りそうな、病名に変えています。で、その病気に対しての治療の中で、この処置ならいいか(値段からしても、保険の審査機構からチェックを受けるにしても、ごまかせるかな、みたいないいか、です。)という処置をしたことにして、保険料を請求します。
そういうところで、明細書付きの領収書をもらうことは、まずないでしょう。チクられたら終わりですからね。(完全に、これは犯罪なので、保険医取り消しだけでなく、詐欺罪も加わります。)
保険制度や他の患者さんのことなんかどうでもいい、自分のシミ治療が安くできるなら、という方からしたら、犯罪の片棒をかつごうが、自分が直接犯罪をしてるわけではないので、別にいいやん、と、このクリニック最高~!と思われるかもしれません。
でも、よく考えてみてください。
こんな医者、信用できますか?そんな医者がする医療(シミ治療)は、ちゃんとしているんでしょうか。
こんなことをしているところはね、お金さえ儲かればいいんですよ。副作用が出ようが、効かなかろうが、関係ないんです。保険で安くやってやってるんだから、文句を言うな!という感じです。うちのやり方が気に入らないなら、よそに行ってくれ!とさえ言われます。
私も含めて、シミ治療など自費治療に、ちゃんとプライドを持って、自信を持って提供している医師は、当たり前ですが、自費治療です。犯罪してまで、シミ治そうとは、思いませんよね。
自費でいただくからこそ、ちゃんと説明もするし、施術後気をつけないといけないスキンケアの話もしますし、アフターケアもあるわけです。施術も、保険診療のような流れ作業ではなく、ちゃんとお時間をお一人お一人にとって、診療しているわけです。
(一部、というか、多くの美容外科・美容皮膚科で、いいかげんなクリニックも、もちろんありますが。。)
保険診療自体、お一人から自費治療みたいな金額がもらえるわけではないので、多くの患者さんを診ないと、やっていけません。薄利多売みたいに、流れ作業になってしまいます。
騙して保険病名や処置でお金をもらったところで、薄利多売になるのは、こちらも同じです。ろくな説明はしてくれませんよ。
他院で、自費や保険やらで、いろいろされてきた患者さんが大勢いらっしゃるので、いろんな情報が入ってきますが(医師仲間からも)、自費ですらロクな説明もしないところが多いのに、保険でやって、説明に時間取るわけないじゃないですか。
以前から何度もブログにも書いていますが、シミ治療でも美容医療は何でもそうですが、光・レーザー治療というのは、他力本願では効果が出ないので、ご自分の普段のスキンケアや注意事項をどれだけ守るのかにかかってます。保険でも何でも、レーザーをあてれば終わり、というものではないんです。
お金を払っただけで、すぐまた出てきたり、悪化して反って濃くなったりと、踏んだり蹴ったり、というトラブルはとても多いです。説明もなく、治療されて、うまくいくわけがないし、患者さんが満足できるわけないと思います。
そういうところで治療されて、命に関わるわけではありませんが、気にしていたシミが、よけい濃くなったら、どうします?安かったから、しょうがない、とあきらめきれますか?
すぐに消えればいいですが、ひどい時は1年たっても、消えません。また、それを治療するのに、余分なお金と時間が莫大にかかってくるわけです。
そういうリスクも考えて、されるなら、その方の人生なので、もう何も言いませんが。。
まあ、そういうクリニックは、保険の審査機構とかもうすうすわかっているので、法律の時効ぎりぎりまで泳がせておいて、一気に摘発して、保険医も取り消し、クリニック自体をつぶしてしまう、と聞いたことがあります。
(不正が軽ければ、保険医一時停止とかあるようです。罪の程度によるみたいですね。)
不正請求分の5年や7年分の返還と罰金が一気にきます。普通、クリニックを存続しながら払える額ではありません。倒産って、ヤツです。もちろん、不正請求していたので、税務署(国税局?)も動きます。
医師は、クリニックが倒産しても、自己破産はできません。保険医取り消しされても、医師免許がある限り、自己破産は、認められないそうです。いくらでも働けるから、というのが理油でそうです。自費のクリニックで働いて、給料から、返還金と罰金を払って行く、という形だそうです。
(レセプトといって、保険の場合、支払い機関に、これだけ治療したから、お金をください、と請求する請求書みたいなものですが、そこのクリニックからの保険請求書を見ているだけで、ここ、おかしい、というのはすぐにわかります。ごくたま~にしていたら、そうそうわかりませんが、今時シミを保険でしてくれる、とかになると、ネットや口コミで、すぐに患者さんが集まりますから、そういう請求書ばかり出てくるわけです。日本でも有数の、特殊な治療で有名なクリニックであれば、特定の治療請求ばかりある、というのはあるでしょうが、そんなところではないのに、その治療数の比率は、普通のクリニックとは全然違うわけですから、すぐにわかってしまいます。また、最近は、患者さんからの通報というのも多く、それから発覚して、審査機構が動く、というのもあります。)
何年か前にも、保険の不正請求をものすごくしていたクリニックが逮捕されて、エライことでしたよね。そこは、治療もむちゃくちゃで、被害者も山のように出ていたので、さらに問題になっていたわけですが、刑事事件ですから、警察の事情聴取がもちろんあります。患者さんのところにも。(ここのクリニックの場合は、患者さんが悪いわけではなく、被害状況を確認というほうが正しいのかもしれませんが)
おかしなところには、関わらないのが一番です。それが、自分の身を守る最大のコツですよね。
お金をかけずにスキンケアをする、ということはある程度可能ですが、安くでシミを取る、というのは、ちょっと無理あると思いますよ。
そういう気持ちでいると、すぐにそういう悪いところ(悪徳エステや悪徳クリニック)にひっかかってしまってしまいますから、美容医療を、ズルして安くとか、破格の値段で、とか、無理だっていうことは理解されておくほうがいいと思います。