「ドクターショッピング」って言葉、聞かれたことありますか?
まるで、ウィンドーショッピングをするかのように、次々とクリニックを変えて行く場合のことを言うんですが、どちらかというと、悪い意味で使われることが多いかと思います。
病気の種類にもよるし、状況によっても変わりますから、一慨には言えないんですが、例えば何か病気して、クリニックを受診して、薬が出されて、しばらく様子を見てください、と言われますよね。
どこのクリニックに行っても、大概そう言う風に言われることが多いと思うんですが、その薬が合っていなかったのか、病状がひどくなったり、変わっていったりした場合、改善せずにどんどんひどくなってることって、またまたあると思います。
そういう場合は、同じクリニックに行って、ひどくなりました、とか、薬が効きません、と診察を受ければ、検査が追加されたり、変化した病状に合わせて薬が変わったり追加されたりして、良くなったり、ホントにひどい場合は、もっと大きな病院に紹介されたりと様々なケースがあると思います。
病院に行ってから、翌日や翌々日に、本格的な症状が出てきて、ひどくなる、というのはよくある話で、症状が変われば薬も診断も変わるのは当たり前なんですが、患者さんからしたら、治らないじゃないか!とわかりにくく勘違いしてしまうこともあると思います。
そこで、同じ病院に行かずに、また違う病院に行って、症状がひどくなってわかりやすくなっているから、診断もはっきりして、薬も変わって、やっと効いてくる、ということも多く、後から診た医者のほうが名医に例えられるのは、そういうことも多いからなんです。
症状や経過を聞いて、この薬は効かなかったんだな、ということで薬を変えやすかったりと情報量が増えるわけです。
病気の場合、どこで医者を変えるのか、クリニックを変えるのか、確かにとても難しいですね。
何度通っても、症状が変わろうが同じ薬を出されるだけで、全然話を聞いてくれない、となるとクリニックを変えたくなる気持ちもわかりますが、医者からしたら、その病気のほんの一部の症状が、その病気の範囲の中で、多少変化しているにすぎず、患者さんがいろいろ言ったところで、薬は変わらないのに、逆に薬が効いているから、その程度で済んでいるんですよ、と心の中で思っていて、説明すると時間がかかるし、外来は混んでるし、もういいや、と同じ薬を出している医者もいるでしょうし、他の患者さん以上に話を聞いているつもりなのに、症状があまり変わらず(全ての病気が治せるわけではありませんから)、同じ薬を出すしかないのに、患者さんの不満だけはどんどん増えていく、その結果、病院を変わる、でも、また違うところに行っても同じことの繰り返しで、みたいなことって、日常茶飯事かと思います。
医者は100人いたら、100人とも考え方・知識の量・経験も全て違いますから、同じ保険診療であっても、もらう薬の種類が全然変わって劇的に良くなることもあれば、日本中、どこに行っても、そんなに変わりませんよ、ということもあり、どうなのかと見極める、ということはなかなか不可能なので、満足がいかないのであれば、確かに、医者を変えて、他の人の意見を聞いてみる、というのはセカンドオピニオンと同じで、大事なことかとは思います。
また、そうやって、別のクリニックに行ってみたら、全く逆のことを言われて、何がなんだかわからなくなったり、医療自体に猜疑心が芽生えたり、医者自体を信用しなくなったり、と悪い面が出てしまうこともあり、もうこればっかりは、運というか縁というか、どこまで受け入れるのか、どうしたらいいのかわかないですよね。
手遅れになってはいけない、と1回でダメならすぐに別のクリニックに変える、ということもありますが、決定的にイヤなことがなければ、2度目に行って、どうなるのか経過をちゃんと話して、医者の対応も見る、というのがとりあえずは一番お勧めではあります。
(緊急性がなければ、ですが。緊急性も、どこまで緊急なのか、判断できませんけどね。医者であったとしても。急変って、確かにありますから。)
以前に、自分の子供に、毒(洗剤とか)を食事に混ぜて少しずつ食べさせて、体調を悪くさせ、入院させて保険金をだまし取ったり、最終的に殺した親のニュースがあったじゃないですか。
入院だったので、体調の変化に主治医が気付いて、なんかおかしい、とワナをかけて、やっぱり母親だった、というので、奈良県で逮捕された母親がいましたよね。
天理よろず病院の先生が体調の急変や悪化に気付いて、発覚した事件でした。
これはだいぶ前の事件ですが、少し前に、似たような事件があって、毒を持っていたのは、母親ではなくて、父親だったか、同居している母親の恋人だったか、捕まった事件があったのを覚えてますか?
目薬だったか、(目薬の事件もありましたね)腹痛だったか、忘れましたが、最初は入院じゃなくて、外来で、開業医や病院を、症状が出るたびに、その度変えておられたように記憶しています。
もし、同じ病院やクリニックで、ずっと経過を診てもらっていたら、なんかおかしい、ということに、外来の医者が気付いて、もっと早くに事件が発覚したのに、とニュースを聞きながら思ったのを覚えています。
同じ患者さんで、病状が不審だったり、改善したと思っていたら、また同じように悪化を繰り返す、となると、何か違う病気が隠れているか、恐ろしいことが起こっているのか、など、やはり異常に気付くと思うんです。(ごくまれに、気づかず、野放しの医者もいるとは思いますが)
ある一定の期間を、同じ医者(もしくは同じ病院)で、経過を診てもらうのって、経過を追って、原因を探ることができますから、そういうのって、いわゆるドクターショッピングをしていると、発見が遅れるわけです。
患者さんから問診をした段階で、この人はドクターショッピングをしているな、というのは、すぐにわかりますし、忙しい外来の最中で、誰も、なかなか真剣に、初診だけで、経過をゆっくり聞いて原因を探ろうとはしません。
(問診の中で、何かが引っかかれば、また話は変わってくるんですけどね)
だって、患者さん自身が腰を落ち着けて経過を見せてくれないし、とりあえず今の症状に合わせて薬を出すしかないんです。
たった1回の診察で、その人の生活状態や環境もわからないのに、短時間で、1発で治す!なんて、魔法みたいなことは、よほど今までかかった病院や医者が検討はずれのことをしていない限り、ないわけです。
また、経過の長~い病気や症状になってくると、いろんなおまけがついてきて、ホントの病気も見えにくくなっていますから、経過が長い分、診断にも時間がかかったり、かなり珍しい、特殊な病気だと、しばらくかかっていても、どうしようもなくて、我慢してもらうしかないことも、実際結構あるわけです。
どんな名医に診てもらっても、医者も人間で神様ではないので、何でもキレイさっぱり治せるわけではなく、「治す」のが難しいのであれば、その症状とうまく付き合っていくやり方を教えてくれる医者に出会うしかないですよね。
ここまできてしまうと、確かにドクターショッピングも必要かもしれません。
ちょっとややこしい病気だと、患者さんも大変なのは大変だと思います。
大きな病院や大学病院に行ったからといって、全員が「いい医者」(いろんな意味で)というわけではなく、患者さん自身との相性も大事ですし、正しい医療をしていても、患者さんが幸せになれるわけでもないんですよね。
患者さんも初めての診察の時って、ドキドキされてると思いますが、医者側もどんな患者さんだろう?どんな病気だろう?大丈夫かな?とドキドキしていることって、お互い様であると思います。
初対面で、全員の方とお互い心から打ち解けあえるわけではありませんから、お互い緊張が解けるくらいの数回くらいは、最低受診をされてみてはどうかな、と思います。
(ホントにおかしなことを言われない限りですが。これも相性と言えば相性なのかもしれませんが。)
病気の場合って、ホントに難しいですよね。
こちらも精神的にも体力的にも弱ってますから、ちょっとした一言で、絶大に信頼してしまう場合もあるし、物凄い不信感を抱く場合もあるし。。。
でも、なんななくごまかす人って、いますよね。そういうのって、こちらがいくら素人とはいえ、やっぱりわかってしまうから、そういう場合は、二度目はなくてもいいかもしれません。
(一番タチが悪いのが、絶大に信頼させておいて、医療はむちゃくちゃなことをしている、というのが実は一番わかりにくくて、体だけボロボロという、最悪の事態になるんですけどね。わかりやすい医者は、そういう意味で、まだ不幸中の幸いです。)
何が言いたいのか、よくわからなくなってきてしまいましたが、自費の医療も同じなんです。
ごくまれに、患者さんの中で、同じ顔なのに、この治療は、このクリニック、あの治療は、こっちのクリニック、と混ぜて同時進行というか(同じ日という意味ではなくて。ある一定の期間に、という意味です)、並行して、治療を受ける患者さんがいらっしゃいます。
ひどい方になると、光やレーザー治療を他院と混ぜてされる方がいらっしゃいます。
このクリニックには、このレーザーがないから、それはあっちでやってもらう、みたいな。
うちでは、うちで治療を受けられる場合、同じ場所(顔なら顔)を、エステや他院で、いろんな人が触る、というのは止めていだたいています。
治療の計画も立てられないし、他院で、無茶苦茶にされたりすると、今までうちでやったことがホントにムダになったりするわけです。
そりゃ、お金と時間を無駄にして、ムチャクチャになっているのは、患者さん自身の顔のわけですから、私が困るわけではありませんが、やはり責任を持って医療をする、というプライドがあるわけです。
なんか経過が悪いな~、という場合は、悪化させるような邪魔している何かがあるわけで、それを見つけないと改善していかないわけで、それがどっか別のところで、医療なりエステを受けてるとなったら、そりゃ、ダメでしょ!となります。
一体、何をされているのかわかりませんからね。
処置の名前(レーザーの機種とか)を聞いたところで、機械の設定などがわかりませんから、お互いの医者同士、連絡を取り合って、同じ考え方で、チームみたいに医療に当たっているなら、ともかく、美容医療で、そういうことは、まあ、めったにありません。
美容医療ほど、ホントに医者によって、考え方・治療方針は全然違うわけなので。
他院から、完全にうちに変わる、というなら、お受けしていますが、まだそこで、コースが残っているから、一緒にやっていいか、と聞かれると、コースを精算されるか、使い切ってから、うちの治療を受けてください、とお願いしてます。
同じ顔で、ホホに他院で、フラクセルやアファームをやりながら、うちで肝斑治療をする、とか、絶対お断りしています。
刺激がよくないのに、どれほどの刺激をしますか!という感じです。
中には、あまり刺激をしない治療をしているクリニックもあるでしょうが、そもそもじゃあ、なんのために高いお金を払って、その治療をされているんですか?と言いたくなります。
治療にもいろんな種類がありますからね。
完全に切り替える場合はいいんですが、最初はうちでやって、来月・さ来月は、よそでやって、その次はまたうちで、みたいな、一体何がしたいんだか。。。
そういう方は、お断りしています。
化粧品を買うのとは、わけが違いますから。
変えてみたけど、やっぱり元に戻そう的な、発想なんでしょうか。。。
医療は、そんな簡単なことじゃないし、お肌自体の回復も考えないとダメですから、経過は、もうぐちゃぐちゃですね。
お金さえくれれば、何でも当てますよ~、ということはしたくないんですよね。
だって、キレイにならないから。
うちで治療をされた後、別のクリニックで、同じ治療(同じ機器)があったとして、そちらのほうが値段が安かったのか、通いやすかったのか、魅力的だったのか、なんかわかりませんが、何回かそちらでやって、また戻ってくる、となると、うちの効果とは違いますので(設定が違いますからね。効果ももちろん違います。機械が同じなら同じわけではないんです。料理のレシピと同じことです。)、この治療は、患者さんに合っていますよ、とか、経過がもひとつだから、設定を変えてみましょう、とか、まあ、わかるわけありません。
それでは、提供している価格と効果のバランスが違ってくるわけです。
もちろん、よそのクリニックがよければ、そちらで治療されればいいと思うんですが、中途半端されて、またうちでやる、となると、(何をどうされたのかが、わかりませんから)一定の期間を空けていただくことになります。
糖尿病や高血圧で毎月病院を変えて、いったりきたり、って普通やりませんよね。
そんなことしたら、コントロールができなくなります。
(紹介状があって、どういう風にコントロールしようとしていたか、とか考え方がわかれば、話は違いますが、それでも、毎月ころころ病院を変えるなんて、普通やらないでしょう。)
でも、美容医療だと、患者さんもエステ感覚なんですかね。
毎月コロコロ変えられるんでしょうか。。
いくら美容とはいっても、完全に医療ですし、1回で、そんな劇的に変わることのほうが少ないわけで、普通は回数がいるわけで、経過によって、薬と同じで、照射方法も変わるわけで。
そりゃ、お金を出すのは患者さんなので、患者さんんがどうされようが自由は自由なんですが、美容医療も保険と同じで、クリニックをコロコロ変えたり、いろんなのをごちゃまぜにしている方の肌や顔って、あんまりキレイじゃありません。
それは、いろんな医者の考え方が混ざっているので、統一感がなく、とてもバランスが悪いんです。
そのバランスの悪さに、患者さんが満足されていれば、他人が、それ、おかしいですよ、と口をはさむことではないんですけどね、主観の問題だし、個人の好みだし。。。
でも、私は、そういうバランスの悪い肌や顔って、あまり作りたくないですね。
私の目指す「キレイ」とは違うので、やっぱりうちでの治療をお断りします。
少しでも早く、「キレイ」になってほしいと思うので。
とりあえず、いいとおもえることは始めてみて、お肌に悪いことは、極力減らして、それでも「キレイ」にならないんだったら、普段の家でのホームケアに何か問題があrのでは?と疑いますから、よその治療と混ぜちゃうと、どんどん時間とお金を食うだけだと、私は思います。
イソップ物語のコウモリでは、ダメだと思います。どっちつかず、というか、行ったり来たり、っていうのは。。
何をしたいのかが、ご本人が理解されていないか、まだ何か迷っておられるのか。。。
そういう時はね、ホントは美容医療って、やったらいけません。お金も時間ももったいないので。
ちゃんと信用できるクリニックで、とりあえず一定期間通って、様子を観る、というのが、やはり私はおススメします。