お待たせしました。
顔筋体操・フェイシャルヨガの話です。
ですが、その前に、ちょっと前フリです。
話が長くなりそうなので、先に、フッておきます。
かな~り前の話ですが、患者さんから処置中に聞かれましたが、患者さんのお母様が、舌で、歯茎に沿って、動かす顔筋体操をされていたそうです。
(唇と歯の間の隙間のところを、舌で、ぐる~っと回す運動です。
よく、お笑いのシルクさんが、口周りのシワがなくなる、と言って、TVや雑誌で昔やってましたよね。今もしているのか知りませんが。。。
ちなみに、そんなことで、シワがなくなるかっ!と私はもちろん思っていますし、うちの患者さんには勧めていません。やっている、とおっしゃったら、止めてください、と止めてもらっています。
そんなにやりたいなら、好きなだけやったらいいですが、(私が困るわけでなし)、タイタンやジェネシスやボトックス・ヒアルロン酸などで、シワの治療をうちで受けておられる方が、そういうことを止めるように言っているのに、止めない方は、うちでの治療をお断りしています。
医学的に根拠のない、巷の情報を信じて、指示に従っていただけない方の治療は、せっかくの医療の効果の妨げをされるので、理解しておられないと判断して、お断りしています。)
「この体操はいいんですか?」と聞かれ、もちろん、私が勧めているわけではないですから私に聞かれても、一体何にいいのか、さっぱりわかりませんが、
「何の目的で、その体操をお母様はされているんですか?」と逆にお聞きしたら、わかりません、とのことでした。
どんな番組で、誰が勧めていたのか、それもご存知ないそうで、とにかく、家に帰ったら、お母様がされているので、詳細をお母様に聞いても、とにかくTVでいいって言っていたから、という感じだったようです。
化粧品でも、スキンケアの方法でも、美容医療でも薬でもサプリでもなんでもそうですが、まず、何のためのやるのか?目的が大事なわけです。
目的によって、やったほうがいいのか、止めておくほうがいいのか、なんでも二面性がありますから、立場が変われば、意見も変わるわけです。
次に、誰が言っているのか?
(どなたが言っているのか、も大事ですが、番組にもよります。
例えば、「ためしてガッテン!」だと、毎回全部を観ているわけではないですが、各分野の(医療に関しては)学会で有名な方を呼ばれて、意見を参考にされて番組が構成冴えているように思います。
学会で有名、というのも、もちろんいい意味での有名で、大勢の関係者が、あの先生なら、とうなづけるような方を呼んできていらっしゃるかと思います。
ふざけていて、根拠もないのに、インパクトだけド~ンとあって、視聴率目的しかないのか?!というような意見は、そう取り上げてはいらっしゃらないように思って観ています。
なので、「ガッテン!」に出ていらっしゃると、この先生は有名なエライ先生なんだろうな~、と思ってしまう節もあり、ちょっと洗脳されてますか?
私は皮膚科医ですが、今は、専門がどんどん分かれていて、学生の時に習ったことは、もう全然古くなっていて、医学の進歩は凄まじいものがあります。
内科や外科、皮膚科以外のことは、もう全然わからないし、皮膚科のことにしたって、最新の医療(病気のほうのね)なんか、もう全然わかりません。
皮膚科学会に行っても、美容医療(に関する)セクションを聞いていたら、皮膚の悪性腫瘍やアトピーのこととか聴けません。聴ける時間があっても、企業セミナーや展示を観に行ったりしていますから、自分と直接関係のない専門分野までは、もう勉強している時間がありません。
ちょっとした学会誌やセミナーのついでに、小耳にはさんで、ほー、今はそうなのか。。と勉強をちょっとするくらいです。
なので、皮膚科以外になると、もっとわかりませんが、それでも、「ガッテン!」に出て来られる先生方のお話しは、とてもわかりやすく、タメになるし、なるほど!と合点のいく話で、さすが、ガッテン!と思っちゃいます。
民放の番組だと、もっともらしく放送されていても、特殊な場合の話だったり、そういうこともあるだろう、という話だったり、「ホンマか~?!」と疑って調べた方がいいな、と思ってしまうことから比べると、雲泥の差かな、と思います。
当たり触りのないことなら、ドクターであれば、ネットでちょっと調べたら、適当になんか言えるのかもしれませんが、やはりそこは、その分野の第一線のドクターがおっしゃっているのとでは、中身の厚さが全然違います。
適当なコメントの、なんと薄っぺらいことか・・・・。
最近は、そういうちゃんとしたドクターと、医師免許のあるタレントさんとが、同じ番組内で、同じようにコメントを言ったりする番組があるので、視聴者の方からしたら、かなりややこしいし、何を信じていいのかわかりませんよね。もっともらしく作ってあったりしますしね。
え~っと、なんの話でしたっけ。。。?
そうそう、誰が言っているのか?
それを勧めているのは、美容医療専門のドクターですか?
それとも、メイクアップアーティストの方?オカマさん? 自称、美道家という方?(この、美道家って、一体、何なんでしょうね。。。)、ビューティアドバイザーとかいう方? 歯医者さん?ドクター?ドクターでも、どこの誰?何が専門?ホントに専門?ちゃんと医者やってる?などなど。。
一体、誰が言っているんですか?
それで何を根拠に言っているわけ?信じられるの?
ひとつの意見として、情報として、聞いておくのはいいですが、どうして、TVで言っていた、というだけで、そのまま信じますかね。
信じて、勝手にやっておいて、効果が出なかったり、副作用が出たりして、「信じてやったのに!!」と言ったところで、TVは、責任取ってくれないですよ。
調べもせずに、信じて、困るのは、貴女ですよ。
このブログでもよく出てくる、「よく噛む」という行為。
顔筋体操でもよく出てきますか?
まず、「よく噛む」ことの長所ですが、
①唾液もたくさん出て、噛むことで食物が細かくなるし、消化が良くなる→胃腸にはとてもいいです。
②早く満腹に感じやすい→ダイエットに役立つ
③アゴの骨や歯の発育にいいらしいですね。歯医者さんは、よく噛むことをとても勧められますね。
④脳の活性化に役立つらしいです。ボケ予防にもいい、と言われていたりしてますね。
⑤噛むことで、筋肉を使うので、血行が良くなる
あら、いいことだらけですね~。
では、欠点。
①エラ(咬筋)が大きくなる(筋トレしているわけですから)→顔がでかくなる・四角くなる
「よく噛む」ことは、とてもいいことです、特に、健康の面において。
私も、よく噛んで食べれば、それだけで、もうちょっと痩せるのに、と思います。
でも、お金を払って、エラボトックスをしに来ているのに、ガムを噛んだりスルメを噛んだり、というのは、勧めていません。
アンタが筋トレして、どうするっ?!(ボトックスで、動きを止めにいくわけですから)
食事で根菜類を食べるとか、食事中によく噛むのは、止めはしませんが、1口につき、30回噛むとか、100回(!)噛むとかしていると、そりゃ~、エラは、とっても大きくなると思いますよ。
もともと、エラの大き目の方は、年々、エラ、大きくなっていませんか?
それは、筋トレしている年数が長くなって、ますます鍛えられているから、エラの筋肉が大きく立派になっていっているです。
歯ぎしりの治療でも、ボトックスをすることがあります。
歯ぎしりするから、エラが大きく強くなるのか、エラが大きいから、歯ぎしりがきつくなるのか、鶏か卵か、みたいなもんですが。。。。
スポーツ選手の方で、奥歯を食いしばるのに、ボトックスすると、食いしばることができなくなるので、わざとやらない(食いしばりたいから)、とおっしゃる方もいらっしゃるので、好みは人それぞれです。
何をどうしたいのか。
それによって、「よく噛む」ですら、全然おススめ度が変わるわけです。
目的が違ったら、貴女の苦労は、水の泡どころか、逆効果なわけですよ。
最初の話に戻します。
舌をぐるぐる回して、歯茎のところを舐めて、一体、何をしたいのか?
それで、何の恩恵をあずかろうとしているのか、目的がはっきりしていて、しかも根拠があるなら、良いと思いますが、目的も根拠もなく、一生懸命やったって、意味ないどころか、逆効果かも?!
目的がわかっていないなら、はっきりわかるまで、やらないほうがいいです。
どっちにしても、そんなことで、その周辺の血行くらいは良くなるでしょうけど、シワが消えるわけでなし、舌で皮膚を伸ばすことになるから、鼻下、弛みますよ、意味がわからないなら、止めておかれたらどうですか?と、患者さんにはお答えしました。
(ちょっとやったくらいで、鼻下伸びませんけどね、こういうのって、みなさん、TV観ながら、何時間もやっていたりしますからね。なんでもやりすぎなんですよ。やればいいってものではないですよ、仮にとても良いことだったとしても。)
さて、顔筋体操の前フリは、ここまでです。
何の目的でするのか、よく覚えておいてくださいね。