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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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時々、患者さんから聞かれるので書いておきます。

「糖質制限」と言っても、考え方はドクターによって、微妙に違います。

共通しているのは、「食後の高血糖を避け、血糖値の乱高下を起こさせない、血糖値の安定」、この3つは、おそらくどのドクターも共通していると思います。

それ以外のところで、ちょっとずつ違ったりします。

どの考え方がいいとか悪いとかではなく、何を目的にしているのか、どういう患者さんを想定しているかで、違ってくる、とお考えください。

例えば、糖質制限で有名な江部先生の糖質制限ですが、江部先生の場合は、ご自身も糖尿病であり、対象のメインは、糖尿病の患者さんです。

その結果、肥満・メタボ・ダイエットという感じで、患者さんの層が広がっているかと思います。

もちろん、上記のことに当てはまらない、健康な方も、どんどんウェルカムです。

ただ、やはり糖尿病メインのお話しが、どうしても中心になってしまうので、糖尿病以外の方には、スーパー糖質制限は、はなからあきらめしまう、ということもあるかもしれません。こんなの、無理っ!と、敬遠してしまう場合もあるかもしれません。

また、糖尿病の方の場合、血糖コントロールがうまくいかないと、そのうち、いろいろな弊害が出てきて、全身の血管がダメージを受けますから、重篤な合併症を引き越す可能性が極めて高くなってしまうので、徹底した血糖管理を目指していらっしゃいます。

特に、糖尿病の方は、ちょっと糖質を食べるだけで、血糖値が急激に上がる方も多いため、徹底した糖質制限がベストになってくるようです。

(この辺は、健常人とは違います)

糖質を徹底して減らしていく以上、他のモノでカロリーを補う必要があるし、もちろん栄養を十分摂るのは当たり前なので、たんぱく質・脂質(野菜などはもちろんのこと)しっかり摂る、糖質も摂っていない上に、たんぱく質・脂質まで制限してしまったら、それこそ栄養失調になったり、脳も食え、食えと、すごい命令を出してきますから、飢餓感はハンパ無くなると思います。

糖尿病・肥満・メタボの方というのは、食べることが大好きで、糖質大好き!という方が多く、そして、運動はキライ、と悪循環にはまっていることが多く(私もそうでしたが、大体炭水化物の呪いは解けたと思います)、頑張って、糖質を制限していても、すぐにまた食べてしまう、なにかがきっかけとなって、また制限できなくなる、など、やはりなかなか大変です。。。

だから、糖尿病にもなるし、メタボにもなるし、肥満になってきているわけで、簡単にす~っと糖質制限できた場合はいいんですが、そんな方ばかりではないようです。

私も、ここまで来るのに、かなり時間がかかりましたからね。。よくわかります。

そういう方であっても、やはり最大限心配されているのは、合併症のことで、なので、血糖コントロールのため、「糖質制限ドットコム」と、糖質制限の食料品などが誰でも買えるように、サイトを立ち上げ、商品開発をいろいろな方とされて、販売もしておられます。

私もいくつか食べましたが、そりゃ、本物に比べたら、おいしくないです。お高いです。

でも、そうでもしないと、また炭水化物の呪いにかかったり、いらんものを食べたりと、中毒症状を取っていくのは並大抵のことではなく、なんとか、脳と味覚をごまかしてでも、多少の添加物などが入ってでも、「血糖の安定」という最大の目的のために、これらの食料品があります。ありがたいことです。

ここまで、糖質制限が実践されている食料品群のサイトは、まあないでしょう。

それとは別に、栄養療法(オーソモレキュラー)は、結果的に糖質制限と同じ感じにはなっていますが、血糖値の乱高下がなく、血糖が安定していれば、糖質を食べてはいけないわけではないです。

ただ、たんぱく質・ビタミン・ミネラル(もちろん良質の油も)を全然摂っていないのに、糖質を食べている場合ではないわけで、糖質を食べられる余裕があるなら、もっと蛋白質を食え!というわけです。

足りない栄養を補うように、大事な順番で食事をしていくと、先におかずでおなかがいっぱいになってしまい、その結果、糖質はほとんど食べていない、食べたけど、ちょっとだけだった、ということになっているわけです。

一見、江部先生の糖質制限と結果的には同じように見えますが、そうなるための考え方がちょっと違います。

一般的な栄養療法(オーソモレキュラー)の本は、対象が糖尿病の方メインにしているわけではなく、老若男女と言いますか、もっと健康に元気になりたい方全員です。

(それは、江部先生ももちろんそうですが、やはり話題が糖尿病メインかなと。)

なので、徹底した糖質制限ではなく、血糖のコントロールももちろんとても大事ですが、だからと言って、食品添加物は極力少ないほうがいいし、食べないにこしたことはありません。加工商品もできるだけ食べないでいてほしい。口から食べる栄養で、もっと元気な体を作るのが目的ですから、食べない方がいいモノはなるべく口にしない、というスタンスでしょうか。

栄養療法(オーソモレキュラー)の考え方では、なかなか口からの食事だけでは、必要な栄養素を補うところまでが難しい方が多いので、そのために、医薬品と同等に扱うようなサプリメントを食事の補助として使うことが多いです。

栄養解析をして、足りない栄養素を見極め、補う、というのが基本です。

一般書に書いてあることは、特殊な病気のことなどはあまり書かれていません。

持病をお持ちの方などは、必要な栄養素が違ってくることがありますから、だからこそ、栄養解析をして、個々に必要な栄養素を調べて、栄養指導と治療を行います。テーラーメイドっていうヤツです。

(江部先生は、サプリメント推奨派ではなく、食事でまかないましょう、ちゃんと食べていたら足りているはず、というお考えだったと思います。

ドクターの中でも、サプリメント推奨派と勧めない派に、分かれます。

勧めない派のドクターは、食事で(きちんと食べていれば)十分摂れるからいりません、という考え方で、推奨派は、必ずでどころのわかっている、品質の良いものを必ず使うように、というのが条件でもあります。)

オーソモレキュラーの、分子整合栄養医学というのは、今の医学会では、かなり特殊で、いえ、学生時代、ちゃんと生化学で習っているんですが、それが人間の体に直結していないというか、つながっていないというか、そういう風に習っていないというか(教育のせいにしたらダメかもしれませんが)、そもそも医師の医学教育の中で、「栄養学」というものがありませんでした。

生化学は、ただの化学構造の羅列で、ただやみくもに化学構造式と化学反応を覚える、という、受験の化学のもっと大量に小難しいバージョンのような、これがひとつひとつ、人間の体の中で起こっている、というのが結びつきにくく、血液検査で、数値が低いからって、何か問題でも?となってしまうことになっていくんですね。。

だって、そういうことを習わないし、普通の教科書にも載っていないんです。

栄養学って、とても大事で基本中の基本なのに、医者は習わずに、医者になってしまうんですね~。この年になって、やっと生化学の大事さを知るとは!

話を戻します。

栄養療法では、糖質制限も大事は大事なんですが、たんぱく質・脂質はもっと重要という位置づけですかね。

江部先生の本も読まれたらいいですし、溝口先生始め、栄養療法(オーソモレキュラー)をされている方々の本も読まれたらいいです。

どれを読まれても、とてもタメになりますし、必ず今後の人生に役立ちます。

情報は多いほうがいいので、できれば、両方読まれてください。

でも、最初の1冊はどちらから、と聞かれると、私の独断と偏見ですが、糖尿病の方は、江部先生からのほうがいいのかもしれません。だって、1冊ほぼまるまる糖尿病、というか糖質の話になったりしますから。最初に徹底して、糖尿病の怖さを知らせてもらうのもありかもしれません。

あと、糖尿病を診てもらう場合、どうしたらいいのか、なども書いてあったりします。

(いわゆる糖尿病専門医であっても、糖質制限反対派のドクターもいるそうで、患者さんが糖質制限をされたい場合、まあ、ケンカになるというか、うまくいきませんよね。そういうこともたくさん書いてあります。)

糖尿病ではない方の場合、特に女性には、栄養療法(オーソモレキュラー)は、ぜひご一読ください。絶対に目からウロコです。

いろんなことが役にたつはずです。

もちろん、男性も。

万人に合う食事療法はないので、人それぞれです。

いろんな本を読まれて、ご自分に一番合う(考え方が賛同できるとか、やっていけそうとか)のを選ばれたらいいとおもいます。

「合う」っていうのは、「都合がいい」という意味ではないですよ、自分の体が一番健康になれる(結果として)のが、「合う」っていうことです。

自分ではわからないという場合は、やはり専門のドクターにご相談ください。

間違ったやり方の場合、無理しすぎたり、ムダな努力で、苦労は水の泡となることも。。。

何を選ぶにしても、無理なく、もっと健康に!